物流の現場や店舗経営、イベント設営など、多くの場面で目にすることの多いアイテムがダンボールです。
さまざまな現場で活用されているダンボールは、訴求力アップにも大活躍します。
訴求力アップを狙うなら、無地のものよりもプリントしたダンボールがおすすめです。
この記事では、ダンボールにオリジナルデザインをプリントするメリットや実際の活用事例を紹介します。
オリジナルデザインのダンボールを制作する理由とメリット
商品配送用ダンボールを見ると、オリジナルデザインを取り入れている企業は少なくありません。
しかし通い箱など一部の例を除くと、ダンボールは基本的に使い捨てするのが一般的です。
使い捨てするダンボールにわざわざオリジナルデザインをプリントする理由として、下記のようなメリットがあげられます。
・ブランディング効果が期待できる
・商品の魅力がアップ
・二次宣伝につながる
・宣伝コストの削減ができる
・ラッピングの手間を省ける
ダンボールの表面に商品名や会社名、ロゴなどを印刷すると、ブランディングにつながります。
オリジナルデザインのダンボールなら商品と会社やロゴを関連付けて覚えてもらえるので、イメージアップも期待できます。
ECサイトであれ、オリジナルデザインの箱なら特別感を演出でき、SNSなどで「通販の箱が可愛い!」と拡散されれば二次宣伝にもなります。
拡散によって商品名・社名・ダンボールデザインなどの露出機会が増えれば、宣伝コストをかけずとも幅広い層に認知してもらえます。
また、オリジナルデザインのダンボールはラッピングやプレミアム商品専用の梱包材としてもおすすめです。
普段とは異なる特別なダンボールを使用するだけで体裁を整えられ、配送作業や店頭でのラッピング対応の手間を軽減できます。
ダンボールにオリジナルデザインをプリントする方法
まっさらなダンボールにオリジナルデザインのロゴや模様をプリントする方法は、複数あげられます。
ダンボール用に利用されている印刷方法は、主に次の5種類です。
オフセット印刷のメリット・デメリット
オフセット印刷とは、原版と呼ばれる厚紙に一度デザインをプリントしてから、ダンボールにプリントする方法です。
ダンボール以外にもポスターや雑誌、パッケージなど、街中で見る商品の多くに利用されています。
メリット | ・印刷がきれい ・細かいデザインにも対応できる ・一度版を作れば大量生産できる |
デメリット | ・小ロットには向いていない ・短期間での納品は難しい |
ポスターにも使用されるほど再現性が高いオフセット印刷は、仕上がりがきれいなのが特徴です。
細かいデザインにも対応でき、一度版を作れば手軽に大量生産できるようになります。
版を作らなくてはならないため、小ロットに向いていない点がデメリットです。
小ロット作成すること自体は技術的に可能でありつつも、版代を考慮すると1枚あたりの価格が高くなります。
インクジェット印刷のメリット・デメリット
インクジェット印刷は、デジタルデータをもとに印刷機で直接インクを吹き付けてプリントする方法です。
家庭用のインクジェットプリンターと基本的な仕組みは同じで、ほかのプリント方法のような版を作る工程は必要ありません。
マゼンタやイエローなど複数のインクを組み合わせて印刷するので、単色からフルカラーまで幅広いプリント依頼に対応できるのが魅力です。
メリット | ・版代がかからない ・小ロットに対応しやすい ・写真を鮮やかにプリントできる ・デジタルデータの再現率が高い ・短納期で制作できる |
デメリット | ・メタリックカラーの再現はできない ・データと色味に差が出ることがある |
インクジェットはデジタルデータの再現率が高く、グラデーションはもちろん、ぼかしも再現できます。
ただし、基本的にCMYKの4色を組み合わせるインクジェットでは、メタリックカラーの再現など不得意なプリント方法もあります。
また、デジタルデータをRGBで作ると、インクジェットのCMYKでは若干ニュアンスの異なる色味が出る可能性もあります。データ作成時は注意しましょう。
RGBは光の三原色(赤・緑・青)でデータを構成する形式のことで、インクジェットのCMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・黒)と色の組み合わせが異なります。
専門会社へダンボールへのプリントを依頼する前に、デジタルデータをCMYK形式に変換しておく作業が必要です。
フレキソ・プリスロ印刷のメリット・デメリット
フレキソ・プリスロ印刷とは、ゴムや樹脂などで版を用意してスタンプの要領でプリントする方法です。
水性インキを使用しており、業者によっては「フレキソ」と省略して呼ぶこともあります。
オフセット印刷と同じく、最初は版を作る料金(印版代)が別途かかるので小ロットでは単価が高くなるのが特徴です。
しかし版の耐久性は高く、一度作ると5〜10年は繰り返し使えるので、定期的に継続依頼する場合は経済的でもあります。
メリット | ・価格を抑えられる ・小ロット~大量発注まで幅広く作れる ・納期が短い ・凹凸のある場所にも印刷できる |
デメリット | ・複雑なデザインは難しい ・小ロットを受け付けている印刷会社が少ない |
ゴムや樹脂は弾力があり、表面がカーブがかっている場合でも印刷できるのがフレキソ・プリスロ印刷の強みです。
一方、その弾力性から、細かく繊細なデザインの再現が難しいのはデメリットといえます。
シルク印刷のメリット・デメリット
シルク印刷とは、原版の上からインクを置いて、ヘラで伸ばして印刷する方法です。
昔はシルクで版が作られていたため、シルク印刷と呼ばれています。
メリット | ・広範囲を塗りつぶすプリントが得意 ・単色刷りに向いている ・インクの層が厚いので退色しにくい ・メタリックインクがきれいにプリントできる ・小ロット制作しやすい |
デメリット | ・版の作成にコストがかかる ・こまかいデザインは難しい ・短納期での大量発注には向いていない |
単色刷りを美しく仕上げられるうえ、インクの層が厚いので退色しにくくなります。
インクを自在に変えられるシルク印刷は、メタリックインクで容易に高級感も演出できます。
ただし、版の作成コストが高いうえ1枚1枚仕上げるため、短納期での大量発注には向いていません。
また、印刷の特性上こまかいデザインの再現も困難です。
箔押し印刷のメリット・デメリット
箔押し印刷とは、金属製の鋳造版で箔フィルムを圧しつけて熱圧着でプリントする方法です。
近年はさまざまな箔フィルムが販売されており、金や銀のほかにメタリックピンクやメタリックグリーンなど鮮やかな色味も楽しめます。
メリット | ・箔フィルムの鮮やかさがそのまま反映される ・メタリック系のカラーが多い ・鋳造版を一度作れば、繰り返し使える |
デメリット | ・広範囲でのプリントは難しい ・鋳造版を作るコストがかかる ・ダンボールだとスジが目立つ |
ダンボールのように茶色い素材へプリントするとき、手法によっては下地の色が仕上がりに影響することがあります。
しかし箔押し印刷は箔フィルムを上から圧着する形式のため、下地の色に左右されず鮮やかな仕上がりです。
最初は、鋳造版を作成するためのコストや日数がかかります。
しかし一度作成すれば繰り返し使用できるため、オフセット印刷などと同じく大量印刷するほど1枚あたりの実質費用が安くなります。
ダンボールへのプリントは自分でもできる?
10枚など小ロット希望なら、自分でプリントする方法がもっとも手軽です。
たとえばスタンプ用の樹脂作成キットや消しゴムハンコキットを購入して、自分で版を彫る方法なら、特別な機械やプリンターを用意する必要もありません。
樹脂作成キットなら、最大A6サイズ程度までの大きさの版を作れます。
メリット | ・欲しい数だけ作れる ・同じデザインでカラーバリエーションを楽しめる ・納期を待たずに作れる ・予算を抑えられる |
デメリット | ・複雑なデザインは難しい ・小さなデザインしか作れない ・綺麗にプリントできるとは限らない ・プリント枚数に比例して工数がかかる |
自作のデメリットは、複雑なデザインは再現しにくいことです。
仮に版を彫れたとしても、押すとスタンプの弾力性でデザインが潰れます。
何より、枚数が増えれば触れるほど工数もかかるため、大量印刷には向いていません。
手間やスピードを考えると、ダンボールへのプリントは専門会社に任せたほうが効率的です。
最近は小ロットでも安く対応してくれるところもあるので、一度相談してみることをおすすめします。
箱型以外のダンボールにもプリント可能!商品事例を紹介
ダンボールへのプリントは、ECサイトなどで使用する箱型以外にも可能です。
パーツを組み合わせれば巨大なものや、立体的なものにもプリントできるため、イベント用の装飾も作成できます。
ここからは、実際に矢野紙器がクライアントからご依頼を受けて作成した、3つの事例を紹介します。
事例1.フルカラーオブジェの製作例
こちらは、木星を再現したオブジェです。
インクジェットによるフルカラープリントで、惑星の繊細なグラデーションを再現しています。
また、高い加工技術により、丸い形状への切り出しも実現しました。
写真を細部のグラデーションまで再現できれば、イベントの展示や舞台の背景、ディスプレイなど幅広い用途で活用できるオブジェが作成できます。
同じくダンボールでスタンドをつければ安定した状態で設置でき、軽量なので移動も容易です。
事例2.グラデーション入りオブジェの製作例
こちらは、ディスプレイ用の馬のオブジェです。
高い加工技術と耐久性にすぐれた強化ダンボールによって、ダイナミックなポーズのオブジェが作成できました。
本体には、インクジェット印刷で花柄とともにピンクとオレンジのグラデーションを施しており、全体的に華やかな仕上がりです。
写真のとおり、側面にもフルカラーでプリントしているため、薄くても奥行き感のあるオブジェとなっています。
事例3.奥行のある巨大オブジェ
こちらは、強化ダンボールを使用した巨大な数字のオブジェです。
ダンボールだからといって、素材が必ずしも茶色いとは限りません。
矢野紙器では、真っ白なダンボールでのオブジェ作成やプリントも対応しております。
あくまでダンボールのため、奥行きがある設計でも軽量で運びやすいのが特徴です。
一見アンバランスに見える形状でも、強化ダンボールを使用すれば安定感のあるオブジェになります。
まとめ
ダンボールへのプリントは、さまざまな方法があります。
フルカラーの場合、一般的には水性インキを使用したフレキソ・プリスロ印刷・再現性の高いオフセット印刷・インクジェット印刷などが利用されています。
物流用の箱はもちろん、ラッピングボックスやダンボール製のオブジェなどもフルカラー印刷で注目されやすいデザインに仕上げられます。
オリジナルデザインのダンボール箱やオブジェをご検討の方は、ぜひ矢野紙器にご相談ください。
矢野紙器では、高い加工技術とインクジェット印刷で、幅広いダンボール製品の作成に対応しております。
具体的な仕様が固まっていないとお困りの方も、「こんなオブジェを作りたい」「こういう箱をデザインしたい」など、まずはお気軽にご相談ください。