海外企業や個人と荷物を送受するときに利用されるのが、国際郵便です。
現在は日本人が海外のECサイトを利用したり、反対に外国人から日本のショップに注文が入ったりと、日常的に国際郵便を利用することが珍しくなくなりました。
利便性が高い一方で、「料金が高い」「荷物の破損が心配」「日数がかかりすぎる」など、ユーザーにとっては不安も少なくありません。
料金を抑えつつ安全に短い日数で届くように国際郵便を使おうと思うと、送る側も意識する点が多くなります。
この記事では国際郵便の概要と利用時の注意点、国際郵便を安く送るコツについて解説します。
国際郵便とは?料金はどのように決まる?
企業が海外の顧客に商品やサンプルなどを送ったり、個人間で荷物を送り合ったりするときに活用されるサービスが、国際郵便です。国内で利用する運送サービスとは、特徴やルールが異なります。
まずは国際郵便のルールや料金体系など、基礎情報を紹介します。
国際郵便とは?
国際郵便は、海外向けに荷物を送るサービスです。
日本では郵便局、ヤマト運輸、佐川急便などの運送会社が対応しています。
他国へ発送するため、国内向けの荷物とはルールが異なります。
国内向けの荷物と異なるルールは、たとえば下記の点です。
- 手書きラベルによる発送ができない
- 宛先の国ごとに郵送禁止物が異なる
- インボイス(内容証明書)が必要となる
国際郵便にはラベルなどに国際間の規格があり、万国郵便条約で2021年から通関電子データ送信が義務化されています。
手書きラベルによる荷物の発送が不可となり、事前に電子データで送り主の住所や氏名、内容物に関する情報の送信が必要です。
仮に手書きラベルで発送した場合、宛先の国で通関作業が遅延したり、返送されたりします。
国ごとに法律も異なるため、事前に発送可能な荷物かどうかを調べる必要もあります。
(遅れない荷物についての詳細は、後述します)
とくに注意すべきポイントが、インボイスです。
荷物の内容を証明するための書類で、中身との相違がないように正しく記載しなくてはなりません。
万が一X線検査などでインボイスの情報と中身が異なると判明した場合は虚偽申告扱いとなり、返送されるおそれがあります。
これからニーズが増える国際郵便
近年はさまざまな要因により、円安傾向が続いています。
海外ユーザーにとっては「日本の商品を安く購入できるチャンス」であり、国内企業にとっては国外で利益を伸ばしたい時期です。
海外からの高い需要を見込んだ企業による、国際郵便の利用増加が見込まれます。
総務省における郵便局活性化委員会の資料によると、2018年時点ですでに世界的なEコマースの発展による荷物量の増加が取り上げられています。
一方で手紙などの郵便物は減少傾向にあり、各国で配達頻度の見直しなどが行われている状況です。
(参考:総務省 郵便局活性化委員会「諸外国の郵便サービスについて」)
加えて各国で問題視されているのが、料金の値上げです。利益率の低さや電子政府化の推進による今後ますますの郵便物量の減少見込みなど、さまざまな要因が影響しています。
日本国内においても、郵便物量の減少や人材不足にともない、配達頻度の見直しが行われました。
国際間のEコマースの発展に加えて、国内外における郵便物の料金値上げや配達頻度の見直しを考慮すると、今後はいっそう国際郵便に目を向ける必要があります。
国際郵便の料金体系
国際郵便は、同じ仕向け地でも配送会社によって料金が異なります。
加えて、同じ宛先かつ配送会社でも配送の種類によって料金や到着にかかる日数も変動します。
たとえば郵便局、ヤマト運輸、佐川急便でそれぞれ、【60cmサイズ2kg未満】の荷物を【アメリカ】に発送した場合、料金や到着日数の目安は下記のとおりです。
配送会社 | 郵便局(*1) | ヤマト運輸(*2) | 佐川急便(*3) |
---|---|---|---|
荷物の区分 ※各配送会社によって呼び方が異なります。 | 【第4地帯】 ①船便 ②エコノミー航空便(SAL便) ③航空便 ④EMS(国際スピード郵便) | 【ゾーン2】 ・国際宅急便 | 【区分E】 ・スモールパーセン(ビジネス小荷物) |
料金 | ①3,300円 ②4,100円 ③6,700円 ④7,900円 | ・2,750円 | ・8,400円 |
到着日数の目安 | ①約1か月〜3か月 ②約6日〜13日 ③約3〜6日 ④約2日〜5日 | ・約4日〜13日 | ・約2日〜5日 |
(出典*1:郵便局「海外の料金表」)
(出典*2:ヤマト運輸「国際宅急便国別ガイド」)
(出典*3:佐川急便「飛脚国際宅配便 料金表」)
※2023年3月時点
郵便局は航空便のほかに船便なども取り扱っており、発送方法によっては到着まで最長で約1か月〜3か月かかります。
また、通関の進捗次第で上記よりもさらに日数がかかる可能性もあるため、余裕をもったスケジューリングが必要です。
国際郵便の問題点とは?
国際郵便は利便性が高い一方で、国ごとの輸送システムやルールが異なる影響もあり、いくつかの問題をはらんでいます。
代表的な国際郵便の問題点としてあげられるのは、「料金の上昇」「梱包の難しさ」「送れない荷物の種類」の3つです。
料金の上昇
まずあげられる問題が、料金の上昇です。
郵便局が値上げを実施したことを皮切りに、各社追従するかたちで料金改定が行われました。
郵便局の発表によると、料金改定の理由は「輸送コスト」と「諸外国における配送コスト」がいずれも大幅に上昇したことによる影響です。
料金改定は2021年4月に1回、翌年の2022年6月にも1回行われました。
2021年と2022年の実施分は料金改定の対象が異なりつつも、非常に短いスパンでの実施となっています。
仕向け地ごとに値上げ幅は異なり、一部のエリアでは区分も新設されています。
前述のアメリカを仕向け地と仮定した料金表を見ると、もっとも安価な配送料金はヤマト運輸の国際宅急便(2,750円)です。
しかし航空機に載せられる荷物の種類は限られており、幅広い荷物を安価に送るとなると郵便局の船便(3,300円)を利用することとなります。
先に上げた表のとおり、郵便局の船便を利用すると配達日数は約1か月〜3か月かかります。
料金を重視すると配送に時間を要することとなり、ユーザビリティの低下を招きます。
一方で配達日数を重視すれば料金が最安値の倍以上かかる場合も多く、バランスを考えるのが非常に難しい問題です。
梱包の難しさ
国際郵便を利用するときは、梱包の問題も避けては通れません。
配送時間が長いうえ、国や会社によっては荷物の扱いがよくない場合もあります。
破損や輸送途中での開封被害のリスクを軽減するためには、発送時の梱包を厳重に行うことが重要です。ただし、あまりにも梱包に資材を使用しすぎると重量過多となり、料金がワンランク上がるおそれがあります。
荷物保護に加え料金面への配慮を考えると、「丈夫さ」と「軽量かつコンパクト」を両立できる梱包が必須です。
もっとも手軽な方法は、梱包サイズを中身に合わせることです。
中身のサイズぴったりの梱包を行うことで隙間を減らし、コストダウンしつつ安全に運べるようになります。
隙間が大きいと荷物サイズが大きくなったり、上に積まれた荷物の重さで隙間から凹みや破れが生じます。
送れない荷物がある
国際郵便は国ごとのルールに加えて、輸送方法による安全性の問題が絡むため、送れない荷物が厳しく設定されています。
発送不可とされる荷物のうち、代表的なものは下記のとおりです。
- 火器
- アルコール
- スプレー缶
- モバイルバッテリー
上記は国際郵便に限らず、航空機を利用した国内の郵便物でも受付を断られる荷物です。
輸送時の衝撃などにより、事故の危険があることが主な理由です。
ほかにも国が独自に禁止していたり、安全上の問題で不可とされていたりする荷物もあるため、事前に仕向け地ごとのルールを把握しておきましょう。
国際郵便を安く送る方法
国際郵便は多くのルールがあり、小さな不注意で料金が大幅に高額化することがあるため、事前確認が欠かせません。
しかし工夫すれば、料金を安く抑えつつ安全に海外へ発送できます。
国際郵便を安く送るコツとして、ここでは3つのポイントを紹介します。
送り先ごとに運送会社を変える
料金に関する項目で解説したとおり、同じ仕向け地でも、配送会社によって料金は大きく異なります。
中には到着時間がほぼ変わらない方法もあるため、送り先ごとに最適な配送会社・手段をチョイスすると料金を抑えられます。
注意点は、配送会社や荷物によっては、対象外となっているエリアもあることです。
返送トラブルを防ぐためにも、発送予定の荷物がサービスの対象外となっていないか、事前に確認しましょう。
到着時間で配送手段を選ぶ
一般的に、到着時間に比例して運賃は高くなる傾向にあります。
前述の例を見ても、アメリカ宛の荷物を郵便局のEMSで発送すれば約2日〜5日で到着する一方、料金は7,900円と高額です。
ヤマト運輸を利用すると2,750円で送れる反面、約4日〜13日と到着までの日数に大きな開きがあります。
賞味期限のない商品を送る場合など、時間を要しても良い荷物は到着が遅い便や船便を選択することも検討してはいかがでしょうか。
ただし、大幅に日数がかかる場合は荷受側の了承が必須です。
強化ダンボール梱包の利用がおすすめ
国際郵便も国内の荷物と同じく、基本的には配送方法、宛先までの距離、荷物のサイズと重量で料金が決定します。
少しでも料金を抑えるためには、発送する荷物そのものにも工夫が必要です。
軽量かつ丈夫な強化ダンボールを梱包に利用すれば、軽量コンパクト化によるコストダウンが実現します。
強化ダンボールとは、パルプ原紙の使用によって強度を高めた製品です。
丈夫さの代名詞ともいえる木箱と比較すると、資材費用にして15%〜20%コストダウンできます。
使用後は古紙として再利用できるため、サスティナビリティの点でも魅力的です。
薄くても丈夫でしっかりしており、梱包材のほかに家具や展示台などにも活用されています。
ダンボールのため、荷物の保安検査で問題となる心配もありません。
荷物の形状に合わせて、カスタムオーダーで専用箱を制作するのもおすすめです。
梱包の手間を軽減するうえ、梱包資材の節減にもつながります。
まとめ
国際郵便は、世界的に需要が高まる一方で、さまざまな要因による料金改定が行われています。
国内の問題のみならず、仕向け地となる海外での輸送費高騰も影響しており、世界的な悩みの種となっています。
料金の値上げは避けられない以上、送り方や梱包資材の工夫で経費削減をはかることが重要です。
荷物の形状に合わせたカスタムオーダーの強化ダンボールなら、発送料金に加えてフルフィルメントにかかる時間やコストも抑えられます。
国際郵便の利用予定がある方は、ぜひ強化ダンボールの導入をご検討ください。